【MATRIXの歌の源流】
もともとアカペラ結成構想の発端は、僕自身の音楽体験によるものが殆どなんですが・・。
1976年位に聞いたThe Singers Unlimited(多重録音は好みじゃないので、重ねの少ないクリスマス盤が好き)、数々のコーラス(特にロシア民謡・黒人霊歌)、山下達郎のMARIE、そのあとに出た1980年のオンスト(On the Street Corner)等です。
1982年あたりには、そのアルバムの中の曲を1人多重録音やったり(その頃の機材はTEAC TASCAM144)、男4人で やってみたり。でも続きませんでした。
しかし特に大事だったのは、オンストのライナーノーツに山下達郎本人が色々書いてて、彼の元ネタの出ドコロをちゃんと披露していた事であり、そこからThe Persuasionsという バンドを知り、探しまくってお店の輸入盤コーナーでLPを1枚発見。それは1984年位だったか。
アルバム「We Came To Play」
http://www.allmusic.com/album/we-came-to-play-mw0000625132
何だこれは。達郎アカペラよりも100倍いいじゃないか。
1曲目は、Sam Cooke、3曲目はTemptations、5曲目はカントリーのJoe South、最後はBeatles。
運よく1988年にアメリカNYに仕事で1年居たので、彼らのライブも2回行く事ができたが、これはもうド迫力。
1996年に結成した我々MATRIXの根底にはこのThe Persuasionsがあって(レパートリーをカバーしているのは勿論として)、ハモりがどう・和音作りがどうとか以前の、まずそこには「歌のパワー」が溢れている事に痺れた訳です。ちなみに僕以外、本物の生演奏は聞いたこと無い筈。
結成当初は、オリジナルアレンジも有りますが、当時ちょっと流行ってたRockapellaのコピーもやりました。しかし活動を始めてほどなく、僕自身の関心として「外国語の歌を、あんまり意味の解ってない我々がいい気になって歌うのも如何なものか」と思うようになり、「日本語の歌」が一気に増えていった訳です。バンドの存在として、オリジナルソングを作る技量もないし、PERSUASIONSを聞けば解るように、カバー曲でもオリジナリティ溢れる歌・バンドは充分可能、と踏んだ訳です。
レパートリーとして、昔の流行歌を呑気に取り上げているように見えるとは思いますが、「外国語の歌だと威勢よく歌えるのに、日本語の歌はどうしてそうならないのか」「このフレーズをコーラスにした場合、歌詞のオーラが消えてしまわないか」「客に向けて歌う事を前提として、歌が自己満足で終わらない一線はどの辺りか」とか、結構色々考えてるんですよ。
【自分のアレンジ(=出来上がったサウンド)として気に入っているもの】
・DIAMONDS(プリンセスプリンセス)
ベースに歌わせ、ベースを無くしたアップテンポDooWop
(曲の感覚として近いのは、Four SeasonsのAloneかな)
ベース本人のリズムがもう少し改善されるともっといいのだが。笑
・心を込めて花束を(サザンオールスターズ)
「結婚式の場で、親に人前で花を贈る」行為が、僕(和田家)の信念に反していたので、
(本気で花を贈りたければ、人前に恥さらす事をせず、一対一の場で贈るべきだと思う)、
野口氏のこの選曲を僕は嫌がったが、いざ作ってみたらなかなか出来が良かった。
前半コーラスは「ウー」だけ、サビで全員「字ハモコーラス」で厚くするのはMATRIX定番。
・ずっと好きだった(斉藤和義)
Persuasionsの「This Little Girl is Mine」(原曲Gary US Bond)を聞いて、こんな感じの
「ベースもベースラインだけでなく、リフで一緒に歌う、ノリのいい曲」をやりたいとずっと
思っていて探したのがこれ。このタイプの曲として、今井美樹の「幸せになりたい」は、
女アカペラグループCoikeに書いてあげました。女アカペラバンドこそ「アカペラベースの
呪縛」は大きい筈なので、それを解放してみたかった。
・伊勢佐木町ブルース(青江美奈)
やってみたらやけに面白かった曲。Oliver Nelsonの「Stolen Moments」のイントロ和音
と同じじゃないか、と気づいたあなたは偉い。あの曲好きなんですよ。
・わが祖国クエソン(ベトナム民謡)
MATRIX初海外遠征で、ベトナム:クエロック州の愛唱歌を歌う事になってアレンジしたもの。
なんとなく後半の雄大な感じが出たかな、と。
ベトナムで泊まったホテル従業員に発音を直して貰ったり、行った先の現地の人と一緒に
歌ったりと、MATRIXメンバー全員の思い出ある曲です。
(わだ)
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